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中小企業こそ人的資本経営

2023年3月期から、有価証券報告書で“人的資本に関する情報開示”を行うことになりました。

直接関係するのは上場企業ですが、人的資本経営、という言葉を新聞や、人材系のサポート会社の広告で頻繁に目にするようになっています。

この、人的資本経営とはどういうことなのでしょうか。

経済産業省の定義では次のようになっています。

■人的資本経営とは、人材を「資本」として捉え、その価値を最大限に引き出すことで、中長期的な企業価値向上につなげる経営のあり方です。

 

内閣官房の定義では次のようになっています。

■「人的資本」とは、人材が、教育や研修、日々の業務等を通じて自己の能力や経験、意欲を向上・蓄積することで付加価値創造に資する存在であり、事業環境の変化、経営戦略の転換にともない内外から登用・確保するものであることなど、価値を創造する源泉である「資本」としての性質を有することに着目した表現である。

 

社員の給料など人件費は損益計算書に表示されますので、経営者は“コスト”として捉えがちです。

が、人件費はコストかもしれませんが、社員自体はコストではなく、経営上の資本と捉えなおして、持っている能力を向上させ、付加価値を生めるよう教育し、更に企業の成長に資する人材に育てよう、という意味なのかな、と私は考えました。

これは、大企業だけが行っていればよいものではなく、中小企業にこそ必要な考えではないかと思います。

中小企業では、積極的に社員教育を行っていない場合があります。

が、今の社会情勢を見ると、次のようなリスクが今後の中小企業を待ち受けています。

・人手不足で社員を採用できず、事業継続が危うくなる

・最低賃金の上昇、採用のための賃金上昇による人件費の高騰

・高年齢者の雇用継続が65歳から70歳までに延長される可能性

このような中で、新規採用ができず、在籍している社員の能力を伸ばすための教育をしないまま、日々の業務をこなすだけでは、社内は事業の成長に役立つ能力を身に付けることなく高齢になった社員だらけになってしまいます。その高齢社員を65歳、70歳まで雇い続けるというのは会社にとってリスクでしかない、と思うのですが…。

社員の中には、自分で何が必要かを考えて勉強したり、資格を取ったりする人もいますが、そういう方はどんどん自分を磨いて、今の会社に物足りなくなったら転職してしまいます。

社員の自主性に任せるのではなく、会社が存続するためには、どんな人材が必要で、今いる社員にどんな能力を身に付けてもらい、業務に活かしてほしいのかを会社が考え、必要な教育を行っていく必要があります。

「人的資本経営」という流行り言葉はどうでもいいので、社員を教育・成長させて会社の経営にもっと役立ってもらおう、という点に注目していただくと良いかな、と思います。社員の成長が会社の利益増加に貢献して会社も成長し、社員の待遇が良くなれば双方良しですよね。

では、また次のブログで!