その社員、70歳まで雇用できますか?
突然ですが、今、御社に在籍している社員の顔を思い浮かべてみてください
(大勢いる場合は一部の社員でも)。
その中で“70歳までこの会社で働き続けてほしい”と思える社員は何人いましたか?
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今年4月から、高年齢者雇用安定法が改正され、
70歳まで働く機会を確保するために何らかの措置を講じなさいよ、
という“努力義務”が事業主に課せられました。
※対象とする従業員は、労使の話し合いで基準を設けて限定することが可能です。
2020年の国勢調査の結果では、少子高齢化の影響で働ける年代(15~64歳)の人口が1995年と比べて13.9%も減っているとのことで、人手不足を補うためには70歳までの定年延長や継続雇用制度は必要なものです。
内容としては、すでに義務化されている次の65歳までの雇用確保義務
・65歳までの定年引上げ
・定年制の廃止
・65歳までの継続雇用制度
の年齢が70歳に置き換わったことのほかに、次の二つが追加されています。
〇70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度の導入
〇70歳まで継続的に従事できる以下の制度の導入
a.事業主が自ら実施する社会貢献事業
b.事業主が委託、出資等する団体が行う社会貢献事業
これらは“努力義務”とは言っても、会社にはいずれかの対応をすることが求められています。
では、どれが一番良いか…となると、やはり中小企業にとっては、70歳までの継続雇用制度が無難ということになるでしょうか。
“対象者を基準により限定できる”とは言っても、
今年6月には国家公務員の定年を65歳に引き上げる法案が成立し、
2023年度から2031年度にかけて2年ごとに1歳ずつ定年年齢を引き上げることとなりました。
民間企業もいずれ(ずいぶん先だと思いますが)定年を65歳に引き上げ、70歳までの継続雇用等が“義務”となるでしょう。
そうなったときに、最初の質問ですが、70歳まで在籍してほしいと思える社員より、
そうでない社員の方が多い場合は、そうでない方の社員に70歳まで働いてほしいと思える社員に変わってもらう必要があります。
社員教育を計画的に行っている会社は、これまで65歳だった雇用期間を70歳に置き換えて、カリキュラムを組みなおす。
これまで社員教育を行ってこなかった会社は…現在の業務内容、社員の能力のままで、70歳まで働き続けて会社に貢献できるのか、を一から考え直す必要があるのではないでしょうか。
事業計画、人材計画をぜひ見直して(作成して)、長く働き続けてほしいと思える社員を増やしていきましょう。