Anna人事労務サポートのトラブル解決法
こんにちは。中小企業のバックオフィス業務をサポートする社会保険労務士の渡辺です。
今日は弊所のトラブル対応について書いてみます。
今年5月にコロナウィルス感染症が第5類に移行して、人の行動や事業活動が活発になりました。このような状況で、この2,3年間はじ~っと内に閉じ込めて鬱々としていた不満のようなものが一気にあふれ出したかのように、ここ最近、お客様各社で社員の様々な問題が発生していました。
全てを赤裸々に書くことはできませんが、常識からとてつもなく外れた行動をしてしまうとか、ハラスメントまがいのものとか、プライベートの出来事のために働く気力を無くして顧客に迷惑をかけてしまうとか。このようなことが各社で次から次へと…。
これらの対応もそろそろ落ち着いてきたのですが、結末がどうなったかというと、全ての方が退職されています。ただ、その退職に至るまでが更に問題でした。
各出来事は、よくよく話を聞いてみても、全く会社に非のないことなのですが、どの方も(みなさんバラバラの会社ですよ)、退職の理由を“会社が原因”だとして対応を求めてこられました。
要は、退職後にハローワークに提出する離職証明書の退職の理由を「会社都合にしてくれ」という要求です。
「自己都合退職」だと失業保険(基本手当)を受給するまでに7日の待機期間プラス2ヶ月の「給付制限期間」がありますが、会社都合だと給付制限期間がなく、すぐに失業保険を受給できるためです。
自分から会社を辞めたい、と言っておきながら、自分の都合のいいように退職の理由を変更してほしい、とどこまでも自分本位な言い分です。
会社を辞めると自分が決めたのであれば、その後の生活のことなどそれなりの覚悟を持っていただきたい(私の独り言です)。
また、なかには労基署やハローワークに相談した、と言ってくる社員もいて、そう言われた社長の中には、弱気になって“本人のためを思って”その通りにしてあげようと考えてしまう方もいらっしゃいます。
このような場面で、社長に冷静な判断力を取り戻していただくのと、このような社員に対して法的な面と心情的な面を合わせて、何が正しい対応かを上手に説明できるようなシナリオを作り、アドバイスを行うのが当方の役目です。そして、そのアドバイス通りの対応をしていただくことで、社員の方も納得のうえで自己都合として退職されていきます。
何か難しいことをするわけではなく、正しいことは何か? を見極めるだけです。ただ、そのためには、社長(会社)には普段から社員に対して正しい行動をしていただいている、ということが前提になります。
実は、ここが一番難しいと思いますが、そのためには、日頃から社労士のアドバイスを受けて社員に接していただくのが良いと思います。
社労士の業務には日常的に発生する手続きや給料計算などもありますが、一番重要なのは社員との上手な、トラブルを起こさない接し方を社長にお伝えすること、また、万が一トラブルが発生したときは、そのトラブルを更に大きなトラブル(弁護士事案)に発展させることなく解決することこそが社労士の役割です。
では、また次のブログで!