いったん離れてみないと分からないことがある
新しい年を迎えました。今年もよろしくお願いいたします。
最近、再雇用制度(カムバック制度、アルムナイ制度など呼び名は様々)を導入する会社が増えているようです。
定年後の再雇用のことではなく、“自己都合退職”した社員をもう一度雇用することです。
大企業などでは制度として運用しており、退職時や再雇用時の条件を満たし、両者が合意すれば良く、この制度を活用することで採用のミスマッチが防げたり、新たな退職者を減らしたりする効果が期待できるとも言われています。
制度として導入していない中小企業でも、このような再雇用は以前からありました。退職した社員の方からもう一度雇ってもらえないか、と言ってくることもあれば、社長の方から声をかけることもあります。ただ、社長側にいったん退職した社員を受け入れる度量があることが前提となります。中には退職した社員に対して心を閉ざしてしまう方もいますので。
社員が会社を辞める決心をするときって様々な理由があると思います。
例えば…
①労働条件が悪い(長時間労働なのに残業代が支払われない、有給休暇を使わせてもらえない、上司や社員間にハラスメントのような言動が多い…いわゆるブラックと言われる部類)
②給料が安い(最低賃金は守っているものの、賞与もなく最低限の生活レベル(趣味を楽しんだり家族を持つことを考えられない)
③ブラックではないけど、社長や同僚とうまが合わない
④自分の能力を正しく評価してくれない(こんなに一生懸命働いているのに報われない。自分はもっとレベルの高い会社で働くべき)
⑤仕事内容が想像と違っていた(自分がやりたい仕事ではない、やりがいを感じられない)
⑥自身で起業する(評価してくれないなら自分でやる)
⑦家庭の事情、自身の病気(育児、介護、実家の稼業を継ぐ…、通院、治療でフルタイムで働けない)
①~③の理由では元社員側から「あの会社でもう一度働きたいな」と思うことはないでしょう。ですが、④~⑥の理由の場合、「辞めて別の会社に就職(起業)してみたものの、前の会社の方が良かったな」とか「どの会社で働いても楽じゃないな」と以前の会社を懐かしく思う可能性があります。
井の中の蛙、というか、ずっと一つの会社の中でしか働いたことがないと自分の能力を過大評価して会社(社長)に不満を感じたり、他の会社に行けばもっと楽しく働けるはず、という理想を描いたり、自分で事業を始めれば自分の思うように働けて成果も出せるはず、と夢見たりしがちです。
そこで思い切って他の世界に飛び出してみたら、ノルマがとても厳しかったり、自分より数倍仕事ができる人がウジャウジャいることに気づいたり、自分の思うように働いても成果がついてこない現実を思い知らされることになるのです。
でも、これは前職を退職して失敗した、ということではありません。いったん別の世界を見なければ分からなかったことですし、それを分かったうえで、更にその場で頑張って働くという選択もあります。
また、前職の良さを改めて理解して、会社が受け入れてくれるなら、もう一度元の会社で頑張ってみたい、と考えたのであれば、堂々と社長に申し入れすればよいと思います(受け入れてくれるかどうかは別として)。
どの会社(ブラックは除く)の社長も自分の会社で働く社員の生活が良くなり、幸せになって欲しいと考えています。だから、社員が退職するときは「うちの会社の何が悪かったのか…」などと自問自答したり、寂しさを感じられることも多いです。
ですから正直な話、社長は「もう一度入社させてください」と言われたら悪い気はしないと思います。それは、いったん外に出たうえで、この会社のことを認めてくれたんだな、と思えますから。
私が知っている事例では、いったん退職して戻ってきた社員は勤続年数が長くなることが多いです。外の世界を知って、自分が居るべき場所が分かったということでしょうか。
また、数年後に退職することがあるかもしれませんが、それもまたいいんじゃないでしょうか。年代とともに考え方も変わっていくのがあたりまえですので、その時自分に一番合った場所で働く…そういう時代です。
では、また次のブログで!