問題社員はいつから問題社員になったのか?
社員の困った行動についてご相談をいただくとき、入社間もない社員の場合、その原因は採用がうまくいかなかった、又はもともと問題行動のある方を採用してしまった、など理由が分かりやすいです。
ですが、数年問題なく働いてきたのに、急に問題行動をするようになった、という場合、どんな原因があるのかを解明することに難しさを感じます。
ご相談があったときは、社長から詳しく話を伺います。
・上司の指示に従わない、反発する
・ミスが増えた
・頻繁に席をはずす
・仕事中に業務と関係ないWEB情報を見ている
・同僚に対して嫌がらせ行為をする
・業務の都合を考えず、急に有給休暇を取得する
など、これらの行為を繰り返し、注意をしても全く改善しない、反対に、上司に食って掛かるなどは、確かに問題行動です。
「でも、この間までは問題なく働いていたと思いますが、いつ頃からそういう行為をするようになったのでしょうか?」
「なぜそのように変わってしまったと思いますか?」と質問してみると、会社(社長)側にもその原因になるようなことがあったらしいことが浮かびあがってきます。
社長ご自身のことなので、曖昧な表現だったり、オブラートに包んだような言い方になることも多いですが、第三者として聞いていると次のように感じます。
・忙しいので社員との対話をしていない。
・社長は話しているつもりでもきちんと面談、という形を作っていない。
・社員が話しかけても目を合わせて答えていない。対応がぞんざいになっている。
・社員から細かいことを言われたくない。
・その程度のことは自分で考えてほしい、という思いが行動に出ている。
・無意識に社員の好き嫌いが出ている。
このようなことがあるから問題行動しても良いのか、と言えば、全くそうではありません。
が、社員も最初は心の内で悶々と悩んでいたものが、社長の“冷たい”対応が続くことで、 “社長に対してあきらめてしまった”のと“自分を見てほしい”という気持ちが相まって問題行動を起こさせたのではないか、と思えるのです。
社長が問題だ、と感じて社労士にご相談に来る頃には、相当関係がこじれてしまっていることが多いです。そこから話し合いを持っても、丸く収めるまでに相当な時間と社長の忍耐を要します。
普通の社員が問題社員に変わってしまう前に、社員一人一人のことをよく見て、日ごろから面と向かって話を聞くようにすれば、このような問題は避けられると考えています。