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そんなに簡単じゃない 同一労働同一賃金

厚生労働省は、同一労働同一賃金の実現のため、企業からの相談に応じる支援センターを来年度すべての都道府県に設置することにしたそうです。
 
運送関係の会社の裁判で同一労働同一賃金について労働者側が勝訴する判決が相次いでいることもあり、国としては背中を押されている感じでしょうか。
 
同じ仕事をするなら給料も同じ
 
これは私も賛成です。でも、ことはそんなに単純ではありません。
 
「同一労働同一賃金の実現のための検討会」が開始されたのが今年の3月からで、同一労働同一賃金の中身をどうとらえるのか、議論が尽くされているのか少々疑問です(もちろん今後も検討は継続されますが)。
 
例えば、経理事務をしている2人の担当者がいるとして、単に“経理事務だから同じ給料”とならないのは当然ですね。
 
それぞれの業務内容、手順、責任の重さを洗い出し、その仕事をするにはどのくらいの経験、能力が必要なのかをきちんと見極め、評価する必要があります。
 
そのうえで同じ内容の仕事をするのであれば、ベースの給料は同じ、プラス、評価が乗ってくる、という形になるかと思います。
 
ですが、多くの会社では、この業務内容~評価までの手続きができていない。だから、社員に問われても、きちんとその待遇の違いを説明できないことがほとんどだと思います。
 
この業務プロセスの見直しなどをきちんと行えば、場合によっては労働時間の短縮、顧客へのサービス向上を実現でき、結果、企業の経営力アップにもつながる可能性はあります。
 
大企業であれば、このあたりはコンサルタントなどを使って行うことができるでしょう。
 
でも、中小企業では、支援センターのアドバイスを受けたとしても、業務プロセスの見直しまで手を付けるかというと、そこまでの時間的、人員的余裕がない場合が多いと思います。
 
結果、表面的な同一労働同一賃金の取り入れによって、会社の人件費負担だけが増える、ということになるのではないか、と懸念しています。