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クラウド型勤怠システムに期待しすぎてはいけない

昨日、ある税理士さんの軽減税率に関する勉強会に参加した後の情報交換会でこんな話が出ました。

『会計ソフトや給与計算ソフト(クラウド型を含め)などを使っているが、これらは万能ではなくて、簿記の知識や給料計算の知識がある人が使って初めて正しい結果が出る』

実際に、あるクラウド会計システムを利用されている方は、取引の自動読み込みをしても仕訳が間違いだらけだった、ということでした。

これは全くその通りだと思います。私は、最近はやりのクラウド型勤怠システムについてそう感じていたところでした。

世の中には数多くのクラウドを利用した勤怠管理システム、給与計算システムがあります。 弊所では、顧問先にお勧めするため、現在その中の数社の勤怠管理システムをテスト利用して使い勝手を検証しています。 その検証で感じているのは、確かに『勤怠管理はできる』のですが、その集計結果をそのまま給料計算に利用できるか、というと『できない』ということです。

私は、勤怠システムのデータをほぼそのまま給与計算に利用するイメージを描いていたのですが、それは私の“期待しすぎ”だったのかな、と思っています。

クラウド型の勤怠管理システムの仕様は、どの会社も次のようなものです。

・専用のICカードや交通系カードなどを専用端末にかざすことで出退勤を記録できる。

・PCでも出退勤を登録できる。  

・外出先でもスマホなどから出退勤を登録できる。更に、登録時の場所も記録できるので、社員の行動も管理できる。  .

・有給休暇の取得状況を管理できる(今年4月の法改正対応)。

・時間外労働の36協定対応。一定の時間数を登録するとアラートで社員や管理者に通知される(今年4月(中小企業2020年4月)の労働時間の上限規制対応))。  

・交通系カード利用の場合は、経費清算も同時にできる。

 

 各社の売りは、法改正対応もしています!ということのようです。その機能は確かに便利なのですが、勤怠集計結果を労基法や各社の就業規則の労働時間の規則に合わせてチェックしてみると様々な修正が必要になります。

最も分かりやすい一例をあげると、システムに日曜日を法定休日で登録しているにも関わらず、日曜出勤しても通常の労働時間にカウントされてしまう、などがあります。 このシステムを労働法の知識がない人が利用したら、法定休日出勤がカウントされない まま給料計算を行ってしまい、結果として未払い賃金が発生してしまいます。 

もちろん、高額な費用を支払えば、その会社独自の勤怠管理を正しく集計できるカスタマイズが可能です。でも中小企業にとっては現実的ではありません。

ということで、昨日の情報交換会では、『最終的には知識のある人の目で精査することが必要』ということになりました。  

AIが勤怠管理も給料計算もやってくれて、社労士の仕事がなくなる、と言われています。いずれはそういう時代が来るのかもしれませんが、まだ当面は正しい給料計算が行える社労士の需要はなくならないのではないか、と思っています。